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T2e通信

更新日時:2010年7月21日
vol.222
ソーシャル・エンタープライズ

社会貢献を目的とした民間企業を「社会的企業」、ソーシャル・エンタープライズが欧米で急成長しているという。

ご存知の通り、財政難の政府が歳出削減や行政改革に動くなか、補助金や寄付だけに頼らず、公共サービスの新たな担い手として事業収入をあげ、存在感を増しているのだ。

民間企業と、社会的企業の大きな違いは、利益を株主配当に回すのではなく、社会貢献目的に再投資する点。

この部分だけを見ると、商業施設やビル運営に類似点が多い。利益も大切だが、年々減少する建物の価値は、メンテナンスやリニューアルに投資をし続けないと、継続が困難だ。クラッシュ&ビルドが良しとされなくなった昨今、サステイナブル=持続可能でなくてはいけない。

しかも、己ばかりを見ていても上手くはいかず、存在することによって、社会にどのような影響を与えることができるのかが重視されることも忘れてはいけない。不動産運用も、この概念を採用すれば、「空室対策」と謳った付け焼き刃の対処をせずに済むかもしれない。

サービスの提供ではなく、資金の中抜きが目的で存在している企業が、行政刷新会議が行う事業仕分け等によって世論の目に曝されるようになった日本国も、企業としての在り方をもう一度問い正す時期だ。(要は、ズルはダメ。何もせずに自分だけ大儲け、は社会貢献から外れている、ということ。)

地域活性化や福祉を非営利組織(NPO)など民間が担う「新しい公共」という考え方に期待が高まっているのも、社会がそれを望んでいる証拠。

実は、この「新しい公共」という概念は、鳩山由紀夫元首相が施政方針演説で2010年1月に表明したもので、「官が独占してきた領域を公に開き、新しい公共の担い手を拡大する」とし、特定非営利活動法人(NPO法人)を公共サービスの新たな担い手に位置づけた。
鳩山由紀夫元首相のtwitter

来る7月16日、ノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行創業者のムハムド・ユヌス氏がに来福した際、グラミン・ソーシャルビジネスの7原則を伺った。

1.目的は利益の最大化ではなく、人々や社会を脅かす貧困、教育、健康、技術、環境といった問題を解決すること
2.財務的、経済的な持続可能性を実現
3.投資家は投資額を回収しますが、それを上回る配当は還元されません
4.投資の元本の回収以降に生じた利益は、グラミン・ソーシャルビジネスの普及とよりよい実現のために使われます
5.環境へ配慮します
6.雇用者はよい労働条件で給料を得ることができます
7.楽しみながら実行します

これらを原則に、今やグラミン・ファミリーと呼ばれる、グラミン銀行から発展した多角的なベンチャー企業集合体ができている。2010年10月から活動予定のグラミン・ユニクロもそのひとつ。バングラディシュ国内での衣料品の企画・生産・販売をするソーシャル・ビジネス。資本金10万ドル相当はファーストリティリングの現地法人が99%、グラミン・ヘルスケア・トラストが1%出資し、衣料品販売はグラミン銀行のネットワークを通じて提供される。

非営利、NPO、ソーシャル云々と聞いて、それだけで遠慮するのはもったいない。ぜひ、ここは本腰入れて研究していただきたい。不動産業の未来は、ここにあると考えているし、また、あるべきだ、とも思う。

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